NPO法人 北九州地域感染制御ティーム「KRICT」
理事長 松本哲朗
感染制御については、各医療関連の施設が、自らの責任において行うことであり、医療関連施設における危機管理の重要な部分を占めます。しかしながら、感染制御には、ある程度の専門的な知識と技術を要するにも関わらず、これらの専門性を有する職員は少なく、専門性を有する職員でも専任での雇用は、極めて少ない状況です。これらの面を補うには、相互協力しかあり得ないと思います。地域における相互協力・連携のモデルとして、KRICTは頑張っています。
KRICTは、感染制御における地域連携を図るため、平成14年に医師、看護師、その他パラメディカルの方々を含んだボランティア組織として結成し、平成15年12月にNPO法人の認可を受けました。その後、アウトブレイク時の緊急対応、施設内での感染制御ラウンド、感染制御に関する質問に対する回答、啓発資材の開発と販売、種々の研修会・講習会の企画・運営、行政への助言・提言などを行って参りました。お陰さまで、全国に類を見ない「感染制御に関する地域連携」のモデルとして、熱い注目を浴びる存在となりました。
KRICTには、会員が3種類あります。個人会員、施設会員、賛助会員です。これらの会員数も順調に増加し、設立当初考えていました施設会員目標100施設をクリアーするところまで来ました。我々は、それぞれの現場で、現場の方々と一緒に問題の解決を図る「現場主義」をモットーとしています。このモットーを貫くため、緊急時に駆けつけることができるという意味で、片道車で2時間以内を基準にしています。従って、福岡県、佐賀県、山口県などに限られますので、遠隔地からのご希望には添えません。そのような場合は、それぞれの場所で、KRICTのような地域連携の「場」を作って頂くようにお願いしています。勿論、そのような「場」の形成には、我々のノウハウを積極的にお教えすることにしています。
KRICTの設立当初は、NPO法人を騙る「押し売り」や「寄付募集」などと誤解されることも多かったのですが、現在では、そのような誤解はほとんどなくなりました。30人程の役員を中心にボランティアで頑張っています。感染制御は、国民全体で考える重要な問題点でもあります。特に、今般の東日本大震災においては、感染症の問題点も多く存在しました。広く市民への啓発活動を積極的に行い、感染制御を地域における市民運動へ盛り上げて行きたいと考えています。皆様の温かいご支援をよろしくお願い致します。